GitHub Copilot のモデル選択肢に、2026年9月1日から4日間で三大陣営の最新モデルが立て続けに加わった。9月1日にClaudeのFable 5.1、9月3日にGemini3.8 Flash、そして9月4日にはOpenAIのGPT-6 Astraが、それぞれ「一般提供(GA)」としてCopilotの中に並んだ。

同じタイミングで、コマンドライン版のCopilot CLIにも手が入っている。バージョン1.0.83で、呼び出すモデルを優先順位付きのリストで指定し、届かなければ次のモデルへ自動で切り替える「カスタムエージェント」の仕組みが加わった。どのAIを選ぶかを一度決めて終わりにするのではなく、作業ごとに使い分ける前提が、開発ツールの内部に実装され始めている。

⚠ 情報の鮮度について
一次情報はGitHub公式Changelogの3本(Claude Fable 5.1: 9月1日/Gemini 3.8 Flash: 9月3日/GPT-6 Astra: 9月4日)と、github/copilot-cli の公式リリースノート(9月2日〜9月4日)、GitHub公式の料金ドキュメントです。GPT-6 AstraのCopilot対応公表(9月4日)から48時間以内の内容として整理しています。各モデル単体の発表内容や性能評価は、本文中でリンクする既報をあわせてご覧ください。

4日間で主要3モデルが集結した

Copilotのモデル欄に何が起きたかを、まず時系列で押さえる。3つの発表はいずれもGitHub公式Changelogに掲載されたもので、報道の後追いではない。

9月1日

Claude Fable 5.1が加わる AnthropicのMythos系最新モデルが、Copilot Pro+・Max・Business・Enterpriseの各プランで選べるようになった。ただし既定では無効で、Business・Enterpriseでは管理者が個別に有効化する必要がある。

9月3日

Gemini 3.8 Flashが加わる GoogleのFlash系最新モデルが、無印のProを含む全プラン(Pro・Pro+・Max・Business・Enterprise)で選択可能になった。3モデルの中では対応プランが最も広い。

9月4日

GPT-6 Astraが加わる OpenAIの最新モデルがCopilot Pro+・Max・Business・Enterpriseに到達。9月1日のFable 5.1から数えて4日間で、三大陣営の最新世代がCopilotという同じ製品の中に出そろったことになる。

3 4日間でCopilotに集結した陣営(OpenAI・Anthropic・Google)
4日 Fable 5.1(9/1)からAstra(9/4)までの暦日
v1.0.83 同じ期間に更新されたCopilot CLIのバージョン
一言でまとめると──「どのAIを選ぶか」を、開発者はもうCopilotというひとつの製品の中で決められるようになった。3社の最新モデルが、発表からわずか数日でひとつの窓口に揃ったのが今回の出来事だ。

料金はモデルごとに階層が違う

3モデルとも「トークン従量課金(usage-based billing)」の対象だが、単価の構造は同じではない。GitHub公式の料金ドキュメントを見ると、Gemini 3.8 FlashとClaude Fable 5.1は単一価格なのに対し、GPT-6 Astraだけは入力トークン数に応じた2段階の価格になっている。

モデル(100万トークンあたり) 入力 キャッシュ読込 出力
Claude Fable 5.1 10.00ドル 0.25ドル 50.00ドル
Gemini 3.8 Flash(12月末まで導入価格) 0.75ドル 0.075ドル 3.75ドル
GPT-6 Astra(入力27万2,000トークンまで) 10.00ドル 1.00ドル 50.00ドル
GPT-6 Astra(入力27万2,000トークン超) 20.00ドル 2.00ドル 75.00ドル

GPT-6 Astraは、1回のやり取りで入力する文脈が27万2,000トークンを超えると、入力とキャッシュ読込の単価がちょうど2倍、出力が1.5倍に切り替わる。長い会話履歴や大きなコードベースを丸ごと読ませる使い方をすると、同じ「GPT-6 Astra」という名前のまま、静かに単価だけが上がる。Gemini 3.8 FlashとClaude Fable 5.1にはこの種の階層は無く、文脈が長くなっても単価は変わらない。

ⓘ Gemini 3.8 Flashだけ「導入価格」である点に注意
表のGemini 3.8 Flashの単価は、2026年12月31日までの期間限定価格としてGitHubが公表しているものです。年明け以降にどう変わるかは、2026年9月5日時点でまだ公表されていません。

Copilot CLIとは何が変わったのか

モデルの顔ぶれが増えたのと同じ週に、Copilot CLI側にも変化があった。9月2日から9月4日にかけて配られたバージョン1.0.83で、「カスタムエージェント」と呼ばれる作業プロファイルが、モデルを複数指定できるようになっている。

“Custom agents can list several models in model, tried in order until one is available to you, and model-policy: required keeps model changes on that list.”

(訳)カスタムエージェントはmodelに複数のモデルを列挙でき、利用可能なものが見つかるまで順に試される。model-policy: requiredを付けると、モデルの変更はそのリストの中だけに限定される。

— github/copilot-cli v1.0.83-2 リリースノート(2026年9月2日)

紛らわしいが、これはCursorのような他ツールにある単純な自動振り分けとは少し違う設計だ。設定できるのは「このエージェント(作業プロファイル)にはこのモデル群を、この優先順位で」という単位で、組織全体に一律でかける管理者向けの既定可用性ポリシーとは別物になる。同じ組織の中でも、コードレビュー用のエージェントはGPT-6 Astra優先、大規模リファクタリング用のエージェントはClaude Fable 5.1優先、といった使い分けができる。

同じバージョンでは、モデル一覧にclaude-fable-5.1が追加されたほか、開発者の作業環境に直接関わる変更も入っている。サンドボックス内で実行するコマンドは、既定でローカルネットワークへのアクセスがブロックされるようになった。ローカルの開発サーバーにCLIからアクセスしている場合、/sandbox設定でローカルネットワークへのアクセスを明示的に許可しないと、これまで動いていた処理が失敗する可能性がある。

01
モデルの優先順位リスト

エージェントごとに使うモデルを複数、優先順位付きで指定できる。先頭のモデルが使えなければ、次の候補へ自動で切り替わる。

02
model-policy: required

この設定を付けると、そのエージェントで使えるモデルは指定したリストの中だけに固定される。利用者が別の任意モデルへ切り替えることはできなくなる。

03
サンドボックスのネットワーク制限強化

macOS・Linuxのサンドボックス内コマンドは、既定でローカルネットワークに届かなくなった。Linux版はプロキシ経由の通信のみに制限される。

なぜ開発ツールに集まるのか

OpenAI・Anthropic・Googleの3社は、それぞれ自社の看板製品(ChatGPT・Claude・Gemini)を持っている。にもかかわらず、最新モデルを発表から数日というスピードで、自社製品ではないCopilotに載せてくる理由は単純だ。コードを書く現場で使われなければ、どれだけ性能が高くても評価されないという前提が、開発者向けAIの世界ではすでに共有されている。

01
開発者は普段使いのツールから離れない

エディタやターミナルを最新モデルのために毎回乗り換える開発者は多くない。だからこそ、自社モデルを普段のツールの中に届けることが、そのまま採用機会になる。

02
月額プランを介さずに実力を示せる

ChatGPT・Claude・Geminiそれぞれの契約者を増やさなくても、開発者の手元でモデルの実力を直接体験させられる。契約の乗り換えという高いハードルを飛び越えられる。

03
「モデル中立」を掲げる開発ツール同士の競争

Cursorも、利用者に代わってモデルを自動で選び分ける仕組みを先行して備えている。開発ツールが特定のAI企業に肩入れせず「窓口」に徹するほど、モデル各社は競って自分のモデルをその窓口に置きにいく。

あなたのプランでは何が変わるか

ここまでの内容を、実際にCopilotを使っている読者の立場で整理し直す。

A
Pro(無印)の個人利用者

選べるのはGemini 3.8 Flashのみ。Claude Fable 5.1とGPT-6 Astraを使うには、Pro+以上へのアップグレードが要る。3モデルの中でGemini 3.8 Flashだけがいちばん広いプランに開放されている。

B
Pro+・Maxの個人利用者

3モデルすべてが選択肢に入る。Copilot CLIでカスタムエージェントを作れば、作業内容ごとにモデルの優先順位を変えて使い分けられる。

C
Business・Enterpriseの管理者

GPT-6 AstraとGemini 3.8 Flashは、既定の可用性ポリシーをオフにしていなければ自動で有効になる。Claude Fable 5.1だけは既定オフのため、使わせたいなら管理画面で個別に有効化する作業が要る。

⚠ Claude Fable 5.1を有効化する前に
Claude Fable 5.1は、Copilotに載っている他のClaudeモデルと違い、既定でデータ保持が有効になります。Anthropicが不正利用検知の安全フィルターを動かすため、プロンプトと出力を保持する仕組みで、学習には使われないと説明されていますが、機密性の高いコードを扱う組織は、この挙動を管理者が把握したうえで有効化を判断する必要があります(対象企業は年内、データ非保持のエンドポイントに切り替え可能です)。
💡 まず試すなら
Pro+以上の契約があるなら、Copilot CLIでカスタムエージェントを1つ作り、modelにGPT-6 AstraとClaude Fable 5.1を両方並べてみるのが手早い。同じ課題を投げて、どちらが先に候補として使われるか、結果の質にどんな差が出るかを、実際の自分の作業で比べられる。

編集部の見立て

Editor's Opinion

今回いちばん興味深いのは、モデルの性能そのものより、「どこで使うか」がAIを選ぶ入口として強くなっているという点だと考えます。ChatGPT・Claude・Geminiという3つのアプリを見比べて選ぶ時代から、Copilotのようなツールを1つ決めて、その中でモデルを切り替える時代へと、開発者の選び方そのものが変わりつつあります。

GPT-6 Astraだけが27万2,000トークンを境に単価が上がる設計になっている点も見逃せません。長い文脈を投げるほど賢くなるはずのモデルが、長い文脈を投げるほど高くなる。この組み合わせを窮屈と感じるか、使いこなす対象と見るかで、Astraをどう使うかが変わってきます。

Claude Fable 5.1が既定オフでスタートしたことも、単なる出遅れではないと見ています。データ保持という条件を先に開示したうえで管理者の判断に委ねる進め方は、性能の派手さより先に、企業が導入判断を下せる材料を揃える姿勢の表れです。

Cursorが先に手をつけていた「モデルを自動で使い分ける」という発想を、開発者人口でまさる場所を持つCopilotが追いかけてきたことで、この設計思想はもう一部のツールの特徴ではなく、開発ツール全体の標準になりつつあります。

まとめ

2026年9月1日のClaude Fable 5.1を皮切りに、9月3日のGemini 3.8 Flash、9月4日のGPT-6 Astraと、GitHub Copilotに主要3陣営の最新モデルが4日間で出そろいました。同じ期間にCopilot CLIも更新され、カスタムエージェントに複数モデルを優先順位付きで指定し、model-policy: requiredでその範囲に固定する仕組みが加わっています。

料金はモデルごとに構造が異なります。Claude Fable 5.1とGemini 3.8 Flashは単一価格ですが、GPT-6 Astraだけは入力27万2,000トークンを境に単価が変わる2階層制です。Gemini 3.8 Flashの単価は2026年12月31日までの導入価格である点にも注意が要ります。

対応プランも一様ではありません。無印Proで使えるのはGemini 3.8 Flashだけで、Claude Fable 5.1とGPT-6 Astraを使うにはPro+以上が必要です。Business・Enterpriseの管理者は、Claude Fable 5.1だけが既定オフである点を確認しておく必要があります。

3モデルが出そろったことで、次に焦点が移るのはCLIのカスタムエージェント機能を実際にどう設定するか、そしてClaude Fable 5.1のデータ保持条件を各企業がどう判断するかである。