GitHub Copilot には、2025年8月からxAIのモデルが一つだけ置かれていた。速度特化の軽量版「Grok Code Fast 1」だ。使い勝手はよいが、あくまで"廉価版"の扱いだった。2026年7月28日、そこにようやく本家のフラッグシップ「Grok 4.5」が加わった。
同じツールの中に、OpenAI・Anthropic・Google・xAI・Moonshot AIという毛色の違う5社のモデルが並ぶ。これは単なる機能追加のニュースではなく、コーディングAIを選ぶという行為そのものが変わりつつある兆候でもある。何が起きたのかを時系列で整理し、Cursor や Claude と併用する開発者にとっての意味まで踏み込む。
何がいつ起きたのか──xAIモデルの歩み
今回の追加は、突然降ってきた話ではない。xAIのモデルがCopilotの中でどう扱われてきたかを振り返ると、"軽量版一本足"から"本家参戦"への流れがよく見える。
「Grok Code Fast 1」がCopilotにプレビュー投入速度と低コストに振った軽量モデルとして先行公開された。コンテキストウィンドウは25.6万トークン。
Grok Code Fast 1が正式提供へCopilot Pro・Pro+・Business・Enterprise向けに一般提供が始まった。2026年3月にはCopilot Freeの自動モデル選択にも組み込まれている。
xAI(SpaceXAI)がフラッグシップ「Grok 4.5」を発表同日、コーディング支援ツールCursorとの提携も公表され、金融・法務・コーディング向けの実務モデルとして投入された。
Claude Opus 5がGitHub Copilotに追加Anthropicの新フラッグシップが、同じ週にCopilotへ加わっている。
本家「Grok 4.5」がGitHub Copilotに追加対象はPro・Pro+・Max・Business・Enterpriseの各SKU。ロールアウトは段階的で、GitHubは「表示されない場合は少し待ってほしい」と案内している。
Copilotの「既定オン化」方針をGitHubが発表一般提供済みのモデルは今後、管理者が個別設定しなくても既定で有効になる。設定自体は先行公開されるが、実際に反映されるのは2026年8月26日から。組織単位のオプトアウトも用意される。ただしKimi K2.7のようなオープンウェイトモデルや、データ保持契約の対象外モデルはこの既定オン化の対象外とされている。
Grok 4.5の中身を数字で確認する
「軽量版」の後継ではなく別枠の追加、という位置づけを裏づけるように、Grok 4.5のスペックはCode Fast 1とはっきり違う。まずは公表されている数字を並べておく。
コンテキストウィンドウはCode Fast 1(25.6万トークン)のおよそ2倍にあたる50万トークンで、テキストに加えて画像入力にも対応する。数字だけではピンと来にくいので、他モデルとの差を図にした。
なぜこの追加が見過ごせないのか
「またモデルが1つ増えただけ」で片付けるには、今回はいくつか特有の意味がある。
Code Fast 1は速度とコストに寄せた特化モデル。Grok 4.5は画像入力や推論の強さの調整に対応する、xAIの主力モデルそのものだ。用途が重なるようで、実は別の道具として捉えたほうが正確だ。
OpenAI・Anthropic・Google・xAI、そしてオープンウェイトのMoonshot AI(Kimi K2.7、2026年7月上旬にBusiness/Enterprise向けに追加)。競合関係にある5社のモデルが、1つのモデル選択画面で横並びになっている。
固定倍率のプレミアムリクエストではなく、プロバイダーの定価をそのまま従量で払う方式。「モデルを増やす」ことと「コストの見通しやすさ」は必ずしも両立していない。
翌7月29日に発表された「既定オン化」方針により、8月26日以降は一般提供済みモデルが管理者の個別設定なしに使えるようになる。何を選ぶかだけでなく、何が勝手に有効になるかにも注意が要る局面に入った。
1つのツールの中に、競合関係にある5社のモデルが同時に並ぶ。もはや問われているのは「どのAIを使うか」ではなく、「どのタスクにどのモデルを割り当てるか」という、開発者一人ひとりの采配だ。
Copilotを使う人が、いま確認すべきこと
ニュースとしての目新しさはあっても、今日から全員が使い方を変える必要はない。落ち着いて確認すべき点は絞り込める。
コーディングAIはGitHub CopilotとCursorのどちらも、1つのモデルに縛られない設計に向かっている。一つのツールを使い続けることよりも、タスクの性質に応じてモデルを選び分ける判断力そのものが、これからの実務スキルになっていく。
編集部の見立て
今回の一件で本当に意味があるのは、Grok 4.5の性能そのものより、「軽量版だけ」だったxAIのモデルに、ついに本家の一軍が合流したという事実だと考えます。Copilotという一つの画面の中に、利害の対立する5社のモデルが並ぶ状態は、もはや珍しくなくなりました。
ただし、選択肢が増えることと、選びやすくなることは別問題です。Grok 4.5の従量課金方式は、他の多くのモデルが採用する固定倍率とは体感が異なりますし、8月26日から始まる「既定オン化」方針は、組織の管理者にとって新しい確認作業を増やします。便利になった分だけ、気をつけるべき点も静かに増えているのが実情です。
次に注目したいのは、Grok 4.5が実際にどれだけのユーザーに使われ、料金面での不満が出ないかどうかです。従量課金のモデルが定着するのか、それとも他のモデルと同じ固定倍率に寄せられていくのか。8月下旬の「既定オン化」実施とあわせて、しばらく値付けの動きを追う必要がありそうです。
まとめ
2026年7月28日、GitHub CopilotにxAIの新フラッグシップ「Grok 4.5」が追加されました。2025年8月から使えた軽量版「Grok Code Fast 1」とは別枠の追加で、コンテキストウィンドウは約2倍の50万トークン、画像入力にも対応します。翌29日には、一般提供済みモデルを既定で有効にする方針もGitHubから発表されました。
いま使っている人が慌てて何かをする必要はありません。ただし、Grok 4.5の課金は従量制でほかのモデルと体感が違うこと、組織で使っている場合は8月26日までに管理設定を確認しておくべきことは覚えておいて損はありません。
コーディングAIはCopilot・Cursorともに「1つのモデルに賭ける」時代から「タスクごとにモデルを選び分ける」時代へ移りつつあります。だからこそ大切なのは、話題のモデルに飛びつくことではなく、自分の作業に合う一本を、そのつど選び直せる目を持っておくことです。
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