GitHub Copilot の請求書は、今日から形が変わる。席の月額は据え置きのままだ。動いたのは、その月額に含まれている「使ってよい量」のほうである。

2026年6月1日に始まった従量課金への移行にあわせて、GitHubは既存のBusiness・Enterprise顧客に3か月だけ多めのAIクレジットを配っていた。その3か月が、9月1日で終わった。Businessは1席あたり月3,000クレジットから1,900クレジットへ、Enterpriseは7,000クレジットから3,900クレジットへ戻っている。値上げの通知は届かない。届かないまま、使える量だけがBusinessで約37%、Enterpriseで約44%削られる。

この節目そのものは、7月にコード支援AIの値付けを整理した記事で「9月1日に控える転換点」として予告していた。その日が来たので、当日の実務──何がいくらになり、どこを設定で止められるのかを整理する。

⚠ 情報の鮮度について
この付与量の変更は、GitHub公式ドキュメントが「従量課金の最初の3か月(2026年6月1日〜9月1日)」と期間を明示していたもので、その期日が本日到来しました。クレジット数・単価・席の月額はいずれもGitHub公式ドキュメントおよび公式ブログの記載で、2026年9月1日時点のものです。後半で扱う新規受付の再開と前払いについては、2026年8月28日付のGitHub公式チェンジログを一次情報としています。

9月1日に何が変わったのか──付与クレジットの新旧比較

動いたのは、月額に含まれるAIクレジットの量だけである。席の値段そのものは変わっていない。

プラン 席の月額 8月まで(優遇) 9月から(恒久)
Copilot Business 19ドル/席 3,000クレジット 1,900クレジット −1,100(約37%減)
Copilot Enterprise 39ドル/席 7,000クレジット 3,900クレジット −3,100(約44%減)
GitHub Copilotの1席あたり月間付与AIクレジットを横棒で比較した図。Businessは8月まで3,000クレジット、9月から1,900クレジットで1,100の減少(約37%減)。Enterpriseは8月まで7,000クレジット、9月から3,900クレジットで3,100の減少(約44%減)。棒の長さはクレジット数に比例している。

優遇分を受け取っていたのは、従量課金が始まる前からBusiness・Enterpriseを契約していた既存顧客だけである。6月以降に新しく契約した組織は、はじめから1,900クレジット・3,900クレジットで動いていた。つまり今日から、両者の条件が揃った。

ここで一度、数字の意味を揃えておきたい。1クレジットは0.01ドルなので、Businessの恒久の付与量1,900クレジットは金額に直すと19ドルになる。これは席の月額とちょうど同じ額だ。Enterpriseも3,900クレジット=39ドルで、やはり席の月額と一致する。8月までの優遇分は、この「席代と同額」の枠に、Businessなら11ドル、Enterpriseなら31ドル相当を上乗せしていたことになる。

AIクレジットとは何か──1クレジット0.01ドル、コード補完は対象外

AIクレジットは、2026年6月1日にCopilotの課金単位として導入された仕組みで、それまでの「プレミアムリクエスト」を置き換えたものだ。1リクエストいくら、という数え方をやめ、実際に流れたトークン量で引かれる方式に変わった。入力・キャッシュ済み入力・出力それぞれのトークンに、モデルごとの公表レートを掛けて消費量が決まる。重いモデルを長い文脈で走らせれば、1回のやり取りでも大きく減る。

重要なのは、何がクレジットを消費しないかのほうだ。GitHubのドキュメントは、コード補完とNext Edit Suggestionsはクレジットで課金されず、有料プランでは無制限のままだと明記している。エディタでタイプしながら灰色の候補が出てくる、あの部分は今回の変更の外側にある。

クレジットが減るのは、チャット・エージェント・コードレビューといった対話型の使い方だ。エージェントに一つのタスクを任せて自律的に走らせる使い方は、そのぶん減りが速い。8月までの優遇枠でエージェントを日常的に回していたチームほど、9月の目減りが実感として大きくなる。

ⓘ 付与枠のリセットと繰り越し
付与されたクレジットは毎月1日の協定世界時0時0分0秒に満額へ戻ります(日本時間では同日の午前9時です)。使い切らなかった分は翌月へ繰り越されず、そこで消えます。「先月あまったから今月は多めに使える」という考え方はできないので、月末に駆け込みで使い切る動機だけが残る設計になっています。

席の月額は据え置きなのに、請求が増えうる理由

付与量が減っただけなら、使える量が減って終わりのはずである。実際にはそうならない。GitHubのドキュメントは、組織とエンタープライズでは付与枠を超えたあとの追加利用が既定で有効になっていると書いている。枠を使い切っても手は止まらず、そのまま公表レートで課金が続く。

止まらないこと自体は、業務の観点では利点でもある。締切前にAIだけが動かなくなる事故は避けられる。問題は、8月まではその境界に届かなかったチームが、9月からは同じ働き方のまま境界を越える点にある。使い方を何も変えていないのに、請求書だけが変わる——今回の変更でいちばん気づきにくいのはここだ。

もう一つ、境界の引かれ方にも癖がある。付与クレジットは席ごとの財布に分かれておらず、組織・エンタープライズ単位でまとめた共有プールとして扱われる。ドキュメントは「各プランの付与クレジットはエンタープライズ全体でプールされ、多く使う人が使わない人の余りから引ける」と説明している。裏を返せば、重い使い方をする数人が全体の枠を先に削る形になる。

境界を管理する道具は用意されている。ドキュメントが挙げているのは、利用者単位の予算、コストセンター単位の予算、組織およびエンタープライズ全体の上限だ。追加利用そのものを止めたい場合は、管理者がAI Controlsの設定でクレジットの有料利用ポリシーを明示的に無効にする必要がある。放っておくと止まらない側が既定である点は、押さえておきたい。

💡 今日のうちに見ておく3か所
まず請求設定のAI利用ページを開き、8月の1席あたり消費量を確認してください。これが1,900(Business)あるいは3,900(Enterprise)を平均で超えていたなら、9月は同じ使い方で共有プールを超過します。次に、AI Controlsで追加利用を許可したままにするか、止めるかを決めてください。最後に、続ける場合は上限をどの単位(利用者・コストセンター・組織全体)で持たせるかを決めます。9月の請求は、この3つで形が決まります。

40席のチームで試算すると、9月の請求はどう動くか

金額の話は、席数を置いたほうが早い。Copilot Businessを40席で使っているチームを例に取る。

1席あたりの付与量は1,100クレジット減った。金額に直すと1席11ドル分である。付与は共有プールなので、40席分をまとめた枠がその40倍だけ細くなる。8月と同じ量を9月も消費した場合、40席では月440ドルが付与枠の外にはみ出す計算になる。席の月額は40席で760ドルなので、請求は合計1,200ドル。席料金だけを払っていたときより、6割ほど増える計算になる。

760ドル 40席分の席料金(据え置き)
440ドル 8月と同じ消費なら生じる超過分(試算)
1,200ドル 9月の請求額の合計(試算)

これはあくまで、優遇枠をきっちり使い切っていたチームを想定した上限側の試算である。消費量は人によって大きくばらつくもので、チャット中心の使い方なら1,900クレジットに届かない席も多い。逆に、エージェントに長時間の作業を任せる人が数人いるだけで、チーム全体の平均は跳ね上がる。だからこそ、平均ではなく席ごとの実績を見る必要がある。

同じ計算はEnterpriseでも成り立つ。1席あたりの減少は3,100クレジット、金額にして31ドル分。席の月額39ドルに対して、減った枠のほうが席代に迫る大きさになっている。

同じ9月1日、新規受付の再開と「前払い」も始まった

今日という日付には、もう一つ課金まわりの変更が重なっている。GitHubは8月28日付の公式チェンジログで、9月1日からクレジットカードまたはPayPal払いの新規Business・Enterprise顧客の受付を再開すると告知した。Copilotの申込みは今年の春から段階的に絞られており、2026年4月22日にはGitHub FreeとGitHub Teamの組織向けにBusinessの自己申込みが停止されている。個人向けプランの受付は6月17日に先行して再開していたので、法人側がこれに続く形になる。

再開にあたって、支払いの順番が変わる。チェンジログによれば、新規に割り当てられる席は席ごとの支払いが済むまで利用者がCopilotにアクセスできない形になる。さらに既存のカード・PayPal払いの顧客についても、2026年10月1日以降、次の請求サイクルの開始時点で割り当て済みの席に前払いの請求が発生する。GitHubはこの変更にあたって、Business・Enterpriseの価格は変わらないと明記している。

9月1日にCopilotで動いたのは、値札ではない。値札の内側にある「どれだけ使えるか」と、支払いの「いつ払うか」である。どちらも、月額の数字を見ているだけでは気づけない。

ちなみに同じ9月1日には、Copilotで選べるモデルの側でも入れ替えが起きている。6つのモデルが同日付で廃止された件は別記事で扱った。課金の枠が縮み、選べるモデルの顔ぶれも変わる。同じ日に、財布と道具の両方が動いた形になる。

個人で使っている人には直接の影響がない。今回の優遇分はBusinessとEnterpriseの既存顧客に向けたもので、Pro(月10ドル)とPro+(月39ドル)の付与量はこの変更の対象外である。

編集部の見立て

Editor's Opinion

今回の変更で注目したいのは、減った割合そのものよりも、値上げの形をしていないことだと考えています。席の月額は19ドルと39ドルのまま、告知も「優遇期間の終了」です。それでも、同じ働き方を続けるチームにとっては支払いが増えます。予告された期日が来ただけなので、誰かが値上げを決めた瞬間というものが存在しません。

この形は、従量課金へ移った製品では今後も繰り返されると見ています。導入期は多めに配り、定着したところで恒久の付与量に戻す。移行の痛みを和らげる手当てとしては筋が通っていますし、GitHubは期間をドキュメントに明記していました。ただ、読者の側から見ると、注意すべき日付が値上げ発表の日ではなく優遇の終わる日になったということです。カレンダーに書く場所が変わりました。

実務としては、平均消費量ではなく席ごとの分布を見ることをおすすめします。40席のうち5席がエージェントを重く回しているチームと、40席が薄く均等に使っているチームでは、同じ平均でも9月の請求がまったく違う形になります。前者なら、その5席だけコストセンターを分けて予算を持たせるほうが、全体に上限をかけるより現実的です。

もう一点、10月1日の前払いも合わせて見ておきたいところです。カードやPayPalで支払っている組織では、席の増減が請求のタイミングに直結する形になります。人が増える月の資金繰りに関わる話なので、経理と共有しておく価値があります。

まとめ

2026年9月1日、GitHub Copilotの既存Business・Enterprise顧客に配られていた優遇分のAIクレジットが終了しました。Businessは1席あたり月3,000クレジットから1,900クレジットへ(約37%減)、Enterpriseは7,000クレジットから3,900クレジットへ(約44%減)戻っています。

席の月額はBusiness 19ドル、Enterprise 39ドルのままで変わりません。ただし付与クレジットは席ごとではなく組織・エンタープライズ単位の共有プールで、超えたあとの追加利用は既定で有効です。使い方を変えなければ、超過分がそのまま請求に乗ります。1クレジットは0.01ドルです。

コード補完とNext Edit Suggestionsはクレジットの対象外で、有料プランでは無制限のままです。減るのはチャット・エージェント・コードレビューといった対話型の使い方で、エージェントを重く使う席ほど影響が大きくなります。付与枠は毎月1日の協定世界時0時(日本時間の午前9時)に満額へ戻り、繰り越しはありません。

あわせて同じ9月1日から、カード・PayPal払いの新規Business・Enterprise顧客の受付が再開し、新規の席は支払い完了までアクセスできない形になりました。既存のカード・PayPal払いの顧客にも、10月1日以降は席の前払い請求が発生します。

次に見るべき日付は10月1日である。カードかPayPalで払っているなら、その日以降の請求サイクルから、割り当て済みの席は前払いになる。9月の請求書で消費量の実績を確かめ、10月の請求書で支払いの順番が変わったことを確かめる。今年の秋のCopilotは、機能ではなく請求書の側から先に変わっていく。