Gemini を無料で使っている人は、10月9日から、自分で選べるモデルが1本だけになる。Googleがヘルプページを書き換え、個人アカウントでGeminiアプリを使う場合に触れるモデルを、プランごとに切り分けた。

無料のまま選べるのは「Flash-Lite」。Geminiの中でいちばん軽い系統である。9to5Googleによれば、無料ユーザーは「Flash」と「Pro」を自分では選べなくなる。ただし既定の「自動選択(Auto)」のままなら、難しい質問はFlashやProに回されることがある(下の追記を参照)。

見落とされやすいのは、その隣に書かれたもう一段だ。月4.99ドルの「Google AI Plus」からもProが外れる。Proが残るのは月19.99ドルの「Google AI Pro」以上になる。4か月前に値下げされて米国でいちばん安い有料AIプランになった段から、いちばん賢いモデルが抜ける。

⚠ 情報の鮮度について
一次情報はGoogleのヘルプページ「Changes to Gemini model access and limits」と、2026年10月3日(米太平洋時間13時57分)に最初にこれを報じた9to5Googleの記事です。本記事公開時点で約30時間が経過しています。本文の月額はいずれも米国での表示価格で、日本円の表示額とは一致しません。また、ここで扱うのは個人アカウントでGeminiアプリを使う場合の話で、開発者向けAPIや、会社・学校のアカウントでの利用は対象外とされています。
ⓘ 公開後に分かったこと(2026年10月18日追記)
現在のGoogleのヘルプページには、加入なしのユーザーは「自動選択(Auto)」が既定になると書かれています。簡単な依頼の多くはFlash-Liteが答え、考える量が要る依頼はFlashやProに回されることがあります。自動選択を切ると、すべての応答がFlash-Liteになります。この記述は本記事の公開時点の報道には無く、ヘルプページが後から書き足されたものとみられますが、ページに更新日の表示が無いため確定できません。本文と表は、この点に合わせて直しています。

10月9日から何が変わるか──プラン別に使えるモデルの一覧

Googleのヘルプページは、10月以降に個人アカウントで使えるモデルをプランごとに並べている。加入なしから最上位まで、こう並ぶ。

プラン 月額(米国での表示価格) 変更後に選べるモデル
加入なし(無料) 0ドル Flash-Lite のみ(既定の自動選択ではFlash・Proに回ることがある)
Google AI Plus 4.99ドル Flash-Lite / Flash
Google AI Pro 19.99ドル Flash-Lite / Flash / Pro
Google AI Ultra 99.99ドル/199.99ドル Flash-Lite / Flash / Pro

適用の日付は、プランによって分かれている。無料で使っている人には10月9日から。AI Plusの加入者については、いつから切り替わるかを個別にメールで案内するとされており、日付そのものはヘルプページに書かれていない。

表の下2段をもう一度見てほしい。UltraとProは、選べるモデルの顔ぶれが同じ3本である。月19.99ドルと月199.99ドルを分けているのは、モデルの名前ではない。使える量と、Ultra限定だった「Deep Think」という設定の側にある。そしてそのDeep Thinkも、9to5GoogleとITmediaの報道によれば、今回からAI Proで選べるようになる。

10月9日 無料ユーザーへの適用開始
1本 無料で自分で選べるモデルの数(Flash-Lite)
19.99ドル Proに触れられる最も安い段(月額)
一言でまとめると──「無料のGeminiで自分で選べるのは、いちばん軽いモデル1本だけになります」。そして月4.99ドルのAI Plusも1本減り、賢いほうのモデルに触れる入口は月19.99ドルまで上がります。払う額ではなく、同じ額で選べる中身のほうが動いた改定です。

Flash-Liteとは何か──残るのは、Googleがいちばん安く売っている系統

Flash-Lite、Flash、Proという3つの名前は、世代の番号ではなく系統の名前である。ヘルプページの表にも版番号は入っていない。つまりそれぞれの名前の裏にどの版が入るかは、表を書き換えずに差し替えられる。読者が確かめられるのは「どの系統が選べるか」までで、「どの版か」はその都度変わりうる。

では系統の重さはどう測れるか。開発者向けAPIの価格表を開くと、Googleが自分で付けた値段という形で見える。各系統の最新版を100万トークンあたりの標準価格で並べると、こうなる。アプリに入っている版と同じとは限らないので、系統の相場として読んでほしい。

系統 APIでの最新版 入力(100万トークン) 出力(100万トークン)
Flash-Lite Gemini 3.5 Flash-Lite 0.30ドル 2.50ドル
Flash Gemini 3.8 Flash 0.75ドル 3.75ドル
Pro Gemini 3.1 Pro(プレビュー) 2.00ドル 12.00ドル

この表は条件を読み落とすと意味が変わるので、段を開いておく。Flashの0.75ドル・3.75ドルは2026年12月31日までの価格で、2027年1月からは1.50ドル・7.50ドルに戻る。Proの2.00ドル・12.00ドルは入力20万トークン以下のときの数字で、20万トークンを超えると入力4.00ドル・出力18.00ドルの段に移る。しかも超えた分だけでなく、そのリクエスト全体にこの単価が掛かる。Flash-LiteとFlashには、価格表上この文脈長の段が付いていない。

そのうえで出力の単価だけを並べれば、Flash-Liteの2.50ドルに対してProは12.00ドルである。Googleが開発者に請求している額で、両者はこれだけ離れている。無料のGeminiアプリで自分では選べなくなるのは、この高いほうだ。

単価の差は、そのまま使い勝手の差ではない。短い返答、定型の言い換え、要約、分類といった作業では、軽い系統でも結果はさほど変わらない。差が出るのは、長い資料をまとめて読ませる場面、手順を何段も踏ませる調べもの、込み入ったコードの相談といった、途中で考える量が増える仕事である。

💡 10月9日より前にやっておくと分かること
いま自分がGeminiに投げている用件のうち、重いものを2つか3つ選んで、同じ指示をFlash-Liteで走らせてみてください。結果が実用に足りるなら、10月9日は何も変わらない日になります。足りないと感じたものがあれば、その作業だけが、有料プランか別のAIへ移す対象です。先に試しておけば、当日に「急に使えなくなった」と感じる場面を減らせます。

月4.99ドルのAI Plusは、6月に安くなり、10月に薄くなる

今回の改定を単独で見ると「無料ユーザーの引き締め」に見える。だが月4.99ドルの段に起きたことを時間順に並べると、別の形が出てくる。

2026.05.17

18歳以上に対して、上限とモデルの提供範囲の変更が始まる Geminiアプリの枠に手が入るのは、今回が初めてではない。

2026.06.08

AI Plusが月7.99ドルから4.99ドルへ、保存容量は200GBから400GBへ 日本では月1,200円から725円になった。値段を下げて容量を倍にする、入口を広げる方向の改定で、この時点で米国でいちばん安い有料AIプランになった。

2026.07.24

5月の変更が18歳未満にも適用される 段階を分けて広げる形が、このときにも取られている。

2026.09.30

最上位の新モデル Gemini 4 Argon が発表される ただし配布先は限定で、消費者向けのプラン表には現れなかった。

2026.10.03

ヘルプページの更新が見つかる 無料はFlash-Liteのみ、AI PlusはFlash-LiteとFlash、ProとUltraは3本という表が載った。

2026.10.09

無料ユーザーへの適用開始 AI Plusの加入者には、適用日をメールで案内するとされている。

4か月のあいだに、同じ段が2回いじられている。6月は値段と容量、10月は中身。下げたのは月額で、削ったのはモデルだった。月4.99ドルという数字は動いていないので、請求書だけを見ている人には何も起きていないように見える。

一方で、報道によれば月19.99ドルのAI Proは今回、Ultra限定だったDeep Thinkを受け取る。下の段は薄くなり、真ん中の段は厚くなる。価格表の数字が1つも動かないまま、どの段を買うべきかの答えだけが書き換わった改定である。

上限はすでに「計算量」で数えられている。今回はeffortが加わる

モデルの出し入れと並んで、同じヘルプページには使用量の上限の話も載っている。ここは読み間違えやすい。やりとりの回数ではなく計算量で数える方式への移行は、今回の変更ではない。ページ上では過去の変更として整理されており、始まったのは2026年5月17日である。上限は5時間ごとに回復し、週の上限に達するまでその繰り返しになる。

Googleの説明では、この計算量はプロンプトの複雑さ、使った機能、会話の長さなどから算出される。枠の大きさはプランごとの倍率で示され、加入なしを1とするとGoogle AI Plusが2倍、Google AI Proが4倍である。Google AI Ultraに月99.99ドルと月199.99ドルの2本があるのも、選べるモデルの違いではなくこの量の差による。ただしプラン紹介ページはUltraの枠を「最大20倍」と記すだけで、どの段を基準にした倍率かは示していない。

10月に新しく加わるのは、その枠をどう使うかの選択である。モデルごとに「low」「medium」「high」の3段階から、どれだけ考えさせるかを選べるようになる。高くすれば難しい作業をこなせるが、そのぶん上限を多く使う。枠の大きさは据え置きで、減らし方のつまみだけが利用者の手元に移る。

01
「1日何回まで」はもう言えない

回数で数える時代は5月に終わっている。同じ1回でも、短い質問と長い資料の読み込みでは減り方が違う。残り枠を把握する手がかりは、数字から体感へ移っている。

02
消費の速さを自分で選ぶ(ここが10月の追加)

effortを高くすれば結果は良くなり、枠は早く減る。どちらを取るかの判断が、提供側の設定から利用者の選択へ移る。選び方を知らないまま高いほうを使い続けると、枠だけが早く尽きる。

03
軽いモデル1本の意味が変わる

無料枠で主に使われるのがFlash-Liteになれば、同じ計算量でこなせる回数はむしろ増える可能性がある。薄くなるのは主に1回あたりの深さのほうだ。

ⓘ 目安は示されていません
算出に使う要素は示されていますが、どの操作が枠のどれくらいを使うのかという目安は、プラン別のモデル一覧のようにはっきり示されていません。したがって「月4.99ドルで何がどれだけできるか」は、当面は使って覚える形になります。10月9日の切り替わりから数日は、ふだんの使い方で上限に当たるかどうかを気にしておくと、自分に必要な段が見えてきます。

この表のどこにも Gemini 4 Argon は無い

9月30日、Googleは最上位の新モデル Gemini 4 Argon を発表している。ところが10月9日のプラン表に、その名前は出てこない。Argonはまず「Fairwind Program」を通じてサイバー防衛の担い手へ配られている段階で、公式の発表はその先の順番を、有料のAPI利用者と Google AI Ultra の加入者から広げるとしている。経緯は10月1日の記事で伝えた。

つまり消費者向けの段は、いまのところ上端が「Pro」である。月199.99ドルを払っても、最上位のモデルはまだ順番待ちの側にある。無料の下端が切り下げられる一方で、上端はまだ開いていない。消費者が買えるのは、上下を詰めた中間だけという期間がしばらく続く。

他社の無料枠も同じ時期に動いている。ChatGPTでは、GPT-5.5が10月14日にChatGPT・ChatGPT Work・Codexから引退する。消費者向け・Business・Enterprise・Eduを含む全プランが対象で、APIには残るという切り分けだ。先週には有料プランの段の組み替えもあり、月200ドルの枠に含まれる量が10月30日に半分になる(詳しくはPro 500についての記事)。どのAIでも、無料や定額で触れるモデルは固定ではない。

10月9日までに確かめること

立場ごとに、見る場所が違う。

A
無料で使っている人

10月9日以降、自分でモデルを選ぶ余地は無くなる(既定の自動選択では、難しい質問がFlashやProに回ることはある)。いまのうちに重めの用件をFlash-Liteで試し、足りないものだけを切り出しておく。足りないものが1つも無ければ、払う理由も無い。

B
AI Plusに月4.99ドルを払っている人

Proを目的に加入していたなら、月19.99ドルのAI Proへ上げるか、Flashで足りるかの二択になる。適用日は個別のメールで案内されるとされているので、受信箱を見る。保存容量400GBのために加入しているなら、そこは今回動いていない。

C
仕事で使っている人

今回の変更は個人アカウントでGeminiアプリを使う場合のものとされている。会社や学校のアカウント、開発者向けAPIは対象外だ。個人アカウントで業務の文章を作っているなら、変わるのはそこだけになる。

⚠ 上の段へ移る前に一度考えること
Proが使えなくなったからといって、すぐに月19.99ドルへ上げる必要があるかは、用件の中身で変わります。確かめる順番としては、まずFlash-Liteで走らせ、次にFlash(AI Plusなら残ります)で走らせ、それでも届かないものがProの仕事です。この3段を自分の用件で試してから決めれば、払う額と必要な深さが噛み合います。

編集部の見立て

Editor's Opinion

今回いちばん大事なのは、無料ユーザーの話ではないと考えています。月4.99ドルという段からProが外れたことです。6月にこの段が値下げされたとき、それは入口を広げる手だと受け取られていました。それから4か月で、入口は同じ値段のまま中身が1本減りました。安い段は人を入れるための場所で、入った後にどこへ案内するかは別に決められる、という実例になりました。

もう一点、ProとUltraで選べるモデルが同じ3本に並んだことに注目しています。月19.99ドルと月199.99ドルを分けるのが、賢さではなく量とDeep Thinkという設定になったわけです。モデルの性能で値段を説明する時代から、使える量で値段を説明する時代へ、消費者向けのプラン表のほうが先に移っているように見えます。上限を回数ではなく計算量で数える方式が5月に入ったのも、同じ方向の変更でした。

そこにeffortの選択が加わる意味は、まだ測りきれないと考えています。算出に使う要素は示されていても、どの操作が枠のどれくらいを使うかの目安は示されていません。effortを高くすると枠が早く減ることは分かっても、どれだけ早いのかは分かりません。重い作業を少なく回す人と、軽い作業を多く回す人のどちらが得をするのかは、使ってみるまで計算できない状態です。

読者にとっての実務的な意味は、10月9日に自分の画面で確かめられる範囲に収まります。モデルの選択欄を開いて、名前が1つだけになっているかどうか。それだけです。難しいのはその後で、Flash-Liteで足りない仕事を見つけたときに、Googleの上の段へ払うのか、別の会社のAIに回すのかという判断が残ります。この判断は、今回のような改定があるたびに戻ってきます。

まとめ

Googleがヘルプページを更新し、個人アカウントでGeminiアプリを使う場合に選べるモデルを、プランごとに切り分けました。加入なしの無料ユーザーが自分で選べるのはFlash-Liteの1本だけで、適用開始は2026年10月9日です。既定の自動選択では、考える量が要る依頼がFlashやProに回されることがあり、自動選択を切るとすべてFlash-Liteで答えます。

月4.99ドルのGoogle AI PlusからもProが外れ、Flash-LiteとFlashの2本になります。Proが残るのは月19.99ドルのGoogle AI Pro以上で、月99.99ドルと月199.99ドルのGoogle AI Ultraも選べるモデルはProまでの3本です。AI Plusへの適用日は一律ではなく、加入者ごとにメールで案内されるとされています。

10月の変更でもう1つ加わるのが、モデルごとにlow・medium・highのeffortを選べる仕組みです。高くするほど難しい作業をこなせますが、そのぶん上限を多く使います。使用量の上限そのものを回数ではなく計算量で数える方式は、今回ではなく2026年5月17日に始まった過去の変更として同じページに整理されており、上限は5時間ごとに回復して週の上限まで続きます。Ultra限定だったDeep Thinkは、AI Proでも選べるようになると報じられています。

開発者向けAPIの価格表で各系統の最新版を見ると、出力100万トークンあたりでGemini 3.5 Flash-Liteが2.50ドル、Gemini 3.8 Flashが3.75ドル、Gemini 3.1 Pro(プレビュー)が12.00ドル(入力20万トークン以下)です。9月30日に発表された最上位のGemini 4 Argonは、今回のプラン表にはまだ現れていません。

次の分岐は10月9日。その日にGeminiアプリのモデル選択を開いて、選べる名前が1つだけになっているかを見ればいい。月4.99ドルのAI Plusを払っているなら、見るのは画面よりも受信箱である。いつから自分の番が来るのかは、いまのところメールにしか書かれていない。