ChatGPT の音声会話「Live」を動かすモデルが、10月15日(OpenAIのリリースノートの日付)に GPT-Live-1.1 へ切り替わり始めた。あわせて、小型版の GPT-Live-1.1 Quip も登場している。日本語の話者にとって目に見える変化は、新しい声が2つ増えたことだ。
ただ、この更新でいちばん日本の利用者の財布や使い方に響くのは、声の数ではない。プランごとに、どちらのモデルで何時間話せるかが公式のヘルプに一覧で載っていて、無料とGoでは小型版のQuipしか使えない。声で相談する習慣がある人ほど、自分のプランがどこに当たるかを一度確かめておく価値がある。
GPT-Live-1.1とは──10月15日に変わったこと
Liveは、ChatGPTの音声会話のうち、相手の話を聞きながら同時に話せる方式のこと。割り込んだり、あいづちを打たれたりしても会話が途切れにくい。OpenAIは7月にこの仕組みを「GPT-Live」として公開し、それまでの高度な音声モードの後継に据えた。GPT-Live-1.1はその最初の更新にあたる。
リリースノートが挙げている変更点は、実質的に3つに絞られる。
各言語の話し方の癖が、より自然になるとされている。どれほど良くなったかを示す数値や比較は、公開されていない。
Liveは、ウェブ検索をしている間に短い言葉をはさんで、調べ中であることを伝える。その言い回しの種類が増えた。
フランス語・ドイツ語・ヒンディー語・日本語・韓国語・メキシコ系スペイン語の声が加わり、英語にはBubbieという声が増えた。小型版のQuipは、フルモデルを使えないプラン向けに用意されている。
配信は段階的で、アカウントによっては旧来の声のままの場合がある。リリースノート自身も、表示される声は地域とアカウントによって異なると断っている。
日本語の声はひまりとりんどうの2つ
ヘルプセンターの一覧では、日本語の追加ボイスはひまり(Himari)とりんどう(Rindō)の2つ。韓国語、ドイツ語、フランス語、ヒンディー語、メキシコ系スペイン語も2つずつで、英語のBubbieと合わせると、今回の更新で新しい声は13になる。ブラジル向けのViolaとRioも一覧には並ぶが、リリースノートが「新しい」と名指ししているのは上の6言語と英語のBubbieだけだ。
| 言語 | 追加された声 |
|---|---|
| 日本語 | ひまり(Himari)/りんどう(Rindō) |
| 韓国語 | Haetsal/Hanul |
| ドイツ語 | Sonna/Miko |
| フランス語 | Aube/Rivage |
| ヒンディー語 | Leher/Neer |
| メキシコ系スペイン語 | Tinta/Arrullo |
| 英語 | Bubbie |
切り替えの場所は「設定」の「音声」で、その中の「声」を選ぶ。話し言葉の指定は同じ画面の「言語」にあり、普段いちばん多く使う言語を選ぶと、聞き取りが正確になりやすいと説明されている。会話の途中で「英語でしゃべって」と頼めば、言語も切り替えられる。
ChatGPT Voiceの利用上限は何時間か
Liveの利用時間は、直近24時間の合計で数えられる。上限に達すると通知が出る。ヘルプセンターに載っているプラン別の上限は次のとおりだ。
| プラン | 使えるモデル | Liveの上限(24時間) |
|---|---|---|
| Free | Quip | 限定的(時間は非公表) |
| Go | Quip | 3時間 |
| Plus | GPT-Live-1.1 | 3時間 |
| Pro(月100ドル) | GPT-Live-1.1 | 15時間 |
| Pro(月200ドル) | GPT-Live-1.1 | 無制限(不正利用防止策の範囲内) |
法人向けも同じ表に載っている。Business Standardは3時間、Business Premiumは15時間で、超えた分は1分あたり1.25クレジットを消費する。クレジット制のEnterprise・Edu・Clinicians向けは1分あたり1.25クレジット、使った分を米ドルで払うEnterpriseは1分あたり0.05ドルだ。
小型版Quipで足りる人、足りない人
表を縦に見ると、構図ははっきりしている。モデルの差は、時間の差より先に、無料・Goとそれより上のプランのあいだに入っている。無料とGoはQuip、Plus以上はフルのGPT-Live-1.1。Goの上限はPlusと同じ3時間なので、時間だけを見ると差がないように見えるが、使えるモデルが違う。
では、その差はどれほどなのか。OpenAIはQuipとフルモデルの性能差を数字で示していない。ヘルプはLiveがウェブ検索・記憶・図の表示・画像・利用できるプラグインを使えると説明しており、Quipだけの制限は書かれていないが、同じ体験になるという保証もどこにもない。
雑談、言い回しの確認、簡単な調べもの、外国語の発音練習が中心の人。答えの精密さより、気軽に話しかけられることが大事なら、小型版でも用は足りる見込みだ。
会議の準備、企画の壁打ち、長い説明を聞きながら質問を挟む使い方の人。ここは小型版との差が出やすい領域だが、差の大きさは公表されていないので、Plusの1か月で自分の用途を試して判断するのが確実だ。
通勤や運転中に長く話し続ける人は、3時間が1日の上限になる。15時間のProが現実的な候補だが、価格が月100ドルなので、使い切れるかを先に見積もりたい。
OpenAIがまだ言っていないこと
今回の発表には、数字が一つも出てこない。確認できなかった点を、先に並べておく。
第一に、性能の比較が無い。GPT-Live-1.1が前のGPT-Live-1よりどれだけ良くなったのか、日本語の聞き取りや発音が実際にどう変わったのかを示す指標は、リリースノートにもヘルプにも載っていない。自然になったという評価は、OpenAIの自己申告にとどまる。
第二に、上限が今回変わったのかどうか。ヘルプには現在の上限が書かれているが、更新前の数字との比較はなく、増減は読み取れない。無料枠については、上限が変わることがあるとも明記されている。
第三に、API(開発者向けの提供)に1.1が来るかどうか。今回の更新はChatGPTの音声に関するもので、自社アプリに組み込みたい開発者向けの案内は見当たらない。音声AIを選ぶ立場で他社と比べるなら、GoogleのGemini 3.8 LiveやxAIのGrok Voice 3.0の記事にある第三者の測定が、いまのところ参考になる数字だ。ただしそれらの測定は、更新前のGPT-Live-1が相手である。
編集部の見立て
今回の更新を、日本語の声が2つ増えたニュースとして読むだけでは、半分しか受け取れていないと考えます。もう半分は、声のAIでもプランによって別のモデルが当たるという構造が、はっきり見えるようになったことです。
音声では、プランによる差が「3時間か15時間か」という時間の軸と、「小型版かフルか」というモデルの軸の二つに分かれて現れます。しかも後者は、どれほど違うのか数字がありません。有料に上げるかどうかは、この数字のない差を自分の耳で確かめるしかないのが現状です。
そのうえで、私たちは次のような順で試すことをお勧めします。まず無料かGoのまま、Quipで普段の会話を一週間やってみる。物足りなさの正体が「答えの質」なのか「時間」なのかを見極める。質なら、Plusの一か月で同じ質問を投げ直す。時間なら、1日の合計をスマートフォンの画面時間などで数えてから、15時間のプランが必要かを判断する。順番を守れば、月額の差を理由なく払う場面は減らせます。
まとめ
OpenAIは2026年10月15日、ChatGPT VoiceのモデルをGPT-Live-1.1と小型版のQuipに更新し始めました。配信は段階的で、アカウントによっては声の一覧がまだ変わっていません。
日本語の新しい声は「ひまり」と「りんどう」の2つ。ほかに5言語の声と英語のBubbieが加わり、新しい声は13になりました。設定の「音声」から選べます。
利用上限は24時間の合計で、Goが3時間(Quip)、Plusが3時間、月100ドルのProが15時間、月200ドルのProが不正利用防止策の範囲内で無制限。無料はQuipの限定的な利用で、時間数は公表されていません。
性能の比較、上限の増減、API提供の有無は、いずれも公式には示されていません。確認できた事実と、示されていない点は分けて受け取る必要があります。
次に確かめたいのは、1.1がAPIに来る日と、QuipとフルモデルのLive上での差を示す第三者の測定が出るかどうかだ。どちらも、現時点で公式の予定は出ていない。