画像生成AI「FLUX」シリーズを手がけるBlack Forest Labs(以下BFL)が2026年10月1日、新モデル「FLUX 3 Image」を公開した。最大の特徴は、画像のどこに何を置くかを、文章ではなく座標で指定できることだ。完成した画像の一部だけを直しても、ほかの部分は変えないという。

Midjourneyのような画像生成AIで、「ここだけ直したいのに、全体の雰囲気まで変わってしまう」という経験がある人は少なくないだろう。FLUX 3 Imageは、まさにそこを狙ったモデルである。

FLUX 3という名前が最初に出たのは7月23日だった。画像・動画・音声・行動予測を1つの仕組みで学習するモデルとして発表され、そのとき画像版は「数週間以内に」提供を始める予定と案内されていた。予告から約10週間を経て、画像版が製品として出てきたことになる。

⚠ 情報の鮮度について
一次情報はBFL公式ドキュメントのリリースノート(2026年10月1日付)です。この記事の公開時点で約2日半(約56時間)が経過しているため、速報ではなく「選ぶ側にとって何を意味するか」の整理として書いています。価格は公式ドキュメントの公表価格(2026年10月3日時点)です。10月8日までの半額は、APIを提供するfal.aiの掲載ページと複数の報道で確認した情報で、BFL公式ドキュメントの価格表には記載がありません。

FLUX 3 Imageとは──画像を「座標で置く」新モデル

FLUXは、BFLが開発している画像生成AIのシリーズだ。FLUX 3 Imageは、公式ドキュメントで先行世代のFLUX.2が引き続き提供されている中での新世代にあたる。公式が掲げるキャッチコピーは「Maximum control over every pixel(すべての画素を最大限に制御する)」で、柱は3つある。

  • バウンディングボックスによる配置:画像の中の要素ごとに「ここに置く」という枠を指定する
  • 1か所だけの修正:同じ枠を使って、色を変える・動かす・差し替える・消すといった編集を要素単位で行う
  • 最大10枚の参照画像:人物や商品などの見本を複数渡して、1枚の画像にまとめる

バウンディングボックスとは、画像上の長方形の枠のことだ。FLUX 3 Imageでは、画像の縦横をそれぞれ0〜1000の目盛りに区切った方眼を想定し、枠を[上, 左, 下, 右]の4つの数字で書く。たとえば[100, 50, 600, 450]なら、画像の上から10%・左から5%の位置を左上の角とし、上から60%・左から45%の位置を右下の角とする長方形になる(この数値は読み方を示すための例である)。目盛りは縦横比に関係なく0〜1000で固定なので、同じ配置を別のサイズの画像にも使い回せる。

10枚 1回に渡せる参照画像の上限
約1,680万画素 4K出力の最大(5,456×3,072)
約10週間 7月23日の予告から10月1日の公開まで
一言でまとめると──「文章で頼んで運を待つ」画像生成から、「座標で置いて固定する」画像生成への一歩です。画質の競争とは別の軸で、選ぶ基準が増えました。

文章の指示と何が違うのか──置く・直す・任せる

文章だけの指示では、「左に人物、右に商品、背景は夕方の街」と書いても、どこまで左でどれだけ大きいかはAIの解釈しだいになる。気に入らなければ文章を書き換えて作り直すことになり、直したい1か所のために、ほかの部分まで引き直されることがある。FLUX 3 Imageは、この2つの不満に対して別々の答えを用意している。

01
置く:要素ごとに枠と説明を渡す

要素ごとに枠を引いて中身を説明し、最後に場面全体を1行でまとめる。公式ドキュメントによれば、各要素は指定した枠の中に描かれる。広告バナーや編集ページのように、位置が決まっている画像で効果が大きい。

02
直す:枠を使って1か所だけ変える

完成した画像に対して、同じ枠で色を変える・動かす・差し替える・消すができる。BFLはこれを「pixel-exact(画素単位で正確)」な局所編集と説明し、枠の外は変わらないとしている。

03
任せる:レイアウトはAIが書く前提

公式ページは、枠と説明の一覧をLLM(文章を扱うAI)に書かせる使い方を想定していると述べ、「designed for agents(エージェント向けに設計)」とうたっている。人が1枚ずつ枠を引く道具というより、AIエージェントが画像AIを操作するときの入力形式という色合いが強い。

ⓘ 「枠の外は変わらない」の読み方
この点はBFLの説明です。編集後に枠の外の画素がどれだけ保たれるかを、第三者が測った数字は、この記事の確認時点では見つけられていません(※観測)。複数回の編集を重ねたときにどうなるかも含め、実際の画像で確かめる価値がある部分です。

FLUX 3 Imageの料金──解像度で1枚の値段が大きく動く

公式ドキュメントに載っている価格は、解像度別の1枚あたりの金額である。開発者向けのAPIの価格で、月額の定額プランではない。

解像度 出力の大きさ(公式の概算) 1枚あたり
768sq 768×768ピクセル 0.041ドル
1K 約100万画素 0.048ドル
2K 約400万画素 0.100ドル
4K 約1,600万画素 0.607ドル
FLUX 3 Imageの解像度別の1枚あたり通常価格を比べた横棒グラフ。768sqが0.041ドル、1Kが0.048ドル、2Kが0.100ドル、4Kが0.607ドルで、棒の長さは金額に比例している。4Kは1Kの約12.6倍、2Kは1Kの約2.1倍。

1Kから2Kへの値上がりは約2.1倍にとどまる。ところが4Kは1Kの約12.6倍(0.607ドル÷0.048ドル)で、4Kだけ段が違う。「とりあえず最高画質で」と4Kで試作を重ねると、費用が一気に膨らむ価格表だ。

なお、APIを提供するfal.aiの掲載ページやThe Decoderなどは、10月8日までの50%割引があると伝えている。この期間なら、1Kは0.024ドル、4Kは0.3035ドルで試せる計算になる。ただしBFL公式ドキュメントの価格表にはこの割引の記載がない。また、価格表は1枚あたりの料金として載っているもので、編集の料金が生成と別建てかどうかは確認できていない。

まだ確かめられていないこと

公開直後の新モデルには、必ず「まだ誰も測っていない部分」がある。FLUX 3 Imageで、この記事の確認時点で空白のまま残っているのは次の3点だ。

⚠ 判断を保留している項目
第三者の評価:画像生成AIの独立した人気投票型のランキングに、FLUX 3 Imageの順位がまだ載っているとは確認できていません(※観測)。画質で他社のモデルより上かどうかは、現時点では誰にも言えません。
オープンウェイト版:誰でも入手できる重み(モデルの中身)の公開版は「数週間以内」と案内されているだけで、日付は示されていません。企業向けには、BFLと個別に契約する形で重みが提供されています。
編集の料金:上で触れたとおり、1か所だけ直す操作の料金が生成と同じかどうかは、公式の価格表からは読み取れません。

で、あなたはどうすべきか

FLUX 3 Imageが関係するかどうかは、画像生成をどう使っているかでほぼ決まる。

A
月額サービスで、思い通りの画像が出ている人

乗り換える理由は今のところない。今回出たのは配置と部分修正の新しい入力方式で、画質の優劣は第三者の測定がまだ無い。使っているサービスの月額料金も動いていない。

B
構図や直しで、毎回やり直しが出ている人

試す価値がある。BFLはブラウザ上のデモ(flux-tools.bfl.ai/precise-editing)を用意している。次の2点を、手持ちの素材で見ればよい。①枠で指定した位置にきちんと収まるか、②1か所直したときにほかが変わらないか。

C
画像生成をツールや業務に組み込む人

解像度ごとの価格差が設計に直結する。試作は768sqか1Kで回し、4Kは仕上げだけにするのが前提になる。1Kで30枚試しても1.44ドル(0.048ドル×30)だが、4Kで同じ枚数なら18.21ドル(0.607ドル×30)になる。

💡 試すときの進め方
半額の期間は10月8日までと案内されているため、試せる日数は短くなります。最初に、いつもの画像生成で直しに手間取った実際の案件を1つ決めてください。そのうえで、同じ内容をFLUX 3 Imageの枠指定で3〜5枚作り、「1回で構図が決まった枚数」と「1か所直して他が変わらなかった回数」を数えると、乗り換えるほどの差かが判断できます。解像度は1Kで十分です。

編集部の見立て

Editor's Opinion

今回の発表で注目したいのは、画質の話がほとんど出てこないことです。公式が前面に出したのは、置く・直す・参照するという入力の形でした。画像生成AIの競争が、「きれいに描けるか」から「頼んだとおりに、頼んだ場所だけ動かせるか」へ移りつつあることを示す一例だと考えます。

もう一点、座標という入力方式は人間にとっては少々とっつきにくいものです。公式が「エージェント向け」と明言しているのも、人が枠を引く時代ではなく、AIが枠を書いて別のAIに渡す時代を見ているからだと読めます。つまり読者の仕事の中で効果が出るのは、画像生成を自動の流れに組み込む場面が先で、1枚ずつ手で作る場面は後だと見ています。

ただし、「枠の外は変わらない」という中心の主張は、いまのところBFL自身の説明にとどまります。第三者の測定が出るまでは、期待は持ちつつ結論は急がないのが妥当です。

まとめ

2026年10月1日、Black Forest Labsが画像生成AI「FLUX 3 Image」を公開しました。要素ごとに座標で枠を指定して配置し、完成した画像の1か所だけを直せることと、最大10枚の参照画像、最大約1,680万画素の4K出力が特徴です。

公式の価格は1枚あたり768sqが0.041ドル、1Kが0.048ドル、2Kが0.100ドル、4Kが0.607ドルで、4Kは1Kの約12.6倍です。10月8日までの50%割引は、APIを提供するfal.aiの掲載ページや複数の報道が伝えていますが、BFL公式の価格表には記載がありません。

第三者による画質の評価、オープンウェイト版の公開日、編集の料金は、いずれも確認できていません。月額サービスで困っていない人は様子見で足り、構図や部分修正でやり直しが続いている人は、1Kで実案件を試す価値があります。

次に確かめられるのは、割引の終了日とされる10月8日と、「数週間以内」とされたオープンウェイト版の公開日です。公開日が示されれば、この記事の「まだ確かめられていないこと」のうち1つが埋まります。