xAI が2026年9月21日、最新モデル「Grok 4.7」を公開した。GitHub CopilotとCursorにはこの日のうちに追加され、料金はGrok 4.6から据え置かれている。
注目すべきは値段よりも置き場所だ。OpenAIのGPT-6 AstraとAnthropicのClaude Fable 5.1がGitHub Copilotで使えるのは月39ドルのPro+以上に限られるのに対し、Grok 4.7は月10ドルの最安有料プラン「Pro」だけで使える。xAIの新モデルがCopilotの入口プランに置かれるのはGrok 4.6から続く型で、今回で2度目になる。
9月13〜14日には、イーロン・マスク氏がXで次のモデル「Grok 4.8」の存在を明かす一方、当時のGrok 4.7は「Claude Opus 5.0並みで5.1ではない」という評価に落ち着いていた(前回の記事)。実際に出荷されたGrok 4.7の立ち位置を、独立検証の数字とあわせて見ていく。
Grok 4.7とは何か──価格据え置きで中身を積み増した
Grok 4.7は、xAIのコーディング・知的作業向けモデルの最新版である。入力100万トークンあたり2.00ドル、出力6.00ドルという価格は、7月に登場した前モデルGrok 4.6と同額のまま据え置かれた。処理速度を優先する「Fast」設定を選ぶと、入力4.00ドル・出力12.00ドルとちょうど2倍の料金になる。
変わったのは中身のほうだ。xAIの説明によれば、土台となるモデル自体を大きくし、時間のかかる難しい課題を重点的に学ばせる強化学習を、より長く回した。あわせてコンテキストウィンドウは50万トークンまで扱えるようになり、考える深さを4段階(低・中・高〈既定〉・xhigh)から選べるようになっている。トークンとは、AIが文章を処理する際の最小単位のことで、日本語ならおよそ1〜2文字が1トークンにあたる。50万トークンあれば、長い技術文書や中規模のコードベースをまるごと読み込ませても余裕がある。
xAIが自社で測定した数値では、長時間かかるコーディング課題を測るCursorBench 4.0で46.3%(Grok 4.6の40.4%から上昇)、DeepSWE v1.1では71.0%(xhigh設定)という結果が出ている。これらはxAI自身の発表であり、外部機関による再測定ではない。
GitHub CopilotとCursorでの使い方と料金
GitHub公式Changelogによれば、Grok 4.7は2026年9月21日付でGitHub CopilotのPro・Pro+・Max・Business・Enterpriseの全プランに展開が始まった。VS Code、Visual Studio、Copilot CLI、クラウドエージェント、Copilotアプリ、JetBrains、Xcode、Eclipseのモデル選択画面から呼び出せる。課金は「プロバイダーの定価に基づく従量課金」で、各プランに含まれるAIクレジット(Proは月15ドル分+フレックス5ドル、Pro+は月70ドル分、Maxは月200ドル分)を消費する仕組みだ。段階的な展開のため、選択肢にまだ出ていない場合もあるという。
| モデル | Copilotへの追加日 | 利用できる最低プラン |
|---|---|---|
| Grok 4.7(xAI) | 2026年9月21日 | Copilot Pro(月10ドル) |
| Grok 4.6(xAI・参考) | 2026年8月14日 | Copilot Pro(月10ドル) |
| GPT-6 Astra(OpenAI) | 2026年9月4日 | Copilot Pro+(月39ドル) |
| Claude Fable 5.1(Anthropic) | 2026年9月1日 | Copilot Pro+(月39ドル) |
Cursorにも同じ9月21日にGrok 4.7が加わった。Cursor公式ドキュメントによる価格は、標準設定が入力2.00ドル・キャッシュ読み込み0.50ドル・出力6.00ドル、Fast設定が入力4.00ドル・キャッシュ読み込み1.00ドル・出力12.00ドルで、xAIの直接価格と同水準になっている。GitHub CopilotのAuto機能と同じく、Cursorも自動でモデルを振り分ける仕組みを持っており、両社とも「どのモデルを手で選ぶか」より「どう自動選択させるか」に力点が移りつつある。
なぜxAIだけが最安プランに置くのか
GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1がそろってPro+以上に限定される一方、xAIはGrok 4.6に続いて2世代連続でProプランに新モデルを置いた。安く見せることそのものが、xAIの一つの武器になっていると読める。
月10ドルのProは、Copilotの有料プランの中で最も契約者数が多いとみられる階層だ。ここに置けば、試す人の絶対数はPro+専用の2社より多くなる。
Proに置いても、Grok 4.7の利用分はAIクレジットを消費する従量課金である。「使い放題」ではなく選択肢を広げているだけなので、xAI側の持ち出しは大きくない。
次の章で見る通り、外部機関の指標ではGrok 4.7は複数の上位モデルの後ろにいる。性能そのものでは勝負しきれない場面を、入手のしやすさで補っている可能性がある。
独立検証が見せた立ち位置
xAI自身の発表とは別に、独立系のベンチマーク機関Artificial Analysisが同じ9月21日に測定結果を公開している。コーディング作業を測る「Coding Agent Index」(xhigh設定)でGrok 4.7は56点となり、Grok 4.6から9点上昇した。この指標で対応するハーネス群の中では4位にあたり、Claude Fable 5.1・GPT-6 Astra・Claude Opus 5の3モデルが依然として上に並んでいる。
知識作業を測る「Intelligence Index」でも46点(Grok 4.6から+2点)で、Artificial Analysisはこれを主要4研究所入りの水準と位置づけた。一方、誤った内容を答える幻覚率は29%(Grok 4.6の高設定時34%から改善)、事実の正答率は47%とほぼ横ばいだった。
9月13〜14日の時点で伝えられていた「Claude Opus 5.0並みで5.1ではない」という下方修正の評価は、実際に出荷されたGrok 4.7の立ち位置とおおむね符合する。大きく伸びたのは間違いないが、xAIが9月2日の時点で予告していた「全モデル凌駕」には届いていない。
編集部の見立て
今回の一件で興味深いのは、性能の話より配置の話だと考えます。GPT-6 AstraとClaude Fable 5.1がそろって月39ドルの壁の向こうに置かれているのに対し、xAIは2世代連続で月10ドルのプランに新モデルを置きました。これは「最強を取りに行く」戦い方とは別の、「最初の選択肢になる」戦い方に見えます。
独立検証の結果を見る限り、Grok 4.7はまだ首位に立てていません。それでも、月10ドルのプランを契約している開発者にとっては、追加費用なしで試せる最新のフラッグシップ級モデルという事実そのものに意味があります。性能で選ぶ基準と、入手のしやすさで選ぶ基準は別物で、今回のGrok 4.7は後者の基準で強い一枚になっています。
気になるのは、Copilot Proの利用者がこのモデルへ流れたとき、Pro+専用の2モデルとの体感差をどう受け止めるかです。差が小さければxAIの狙いは当たりますし、差が大きければ「試したが結局Pro+へ上げた」という利用者が増えるはずです。この分岐は、数字ではなく利用者の声でしか確かめられません。
まとめ
2026年9月21日、xAIがGrok 4.7を公開しました。価格は入力100万トークンあたり2.00ドル・出力6.00ドルとGrok 4.6から据え置かれ、コンテキストウィンドウは50万トークンに拡大しています。
同日のうちにGitHub CopilotとCursorへ追加され、GitHub Copilotでは月10ドルの最安有料プラン「Pro」だけで利用できます。同じくCopilotに並ぶGPT-6 AstraとClaude Fable 5.1は、いずれも月39ドルのPro+以上が必要です。
独立検証機関Artificial Analysisの測定では、Grok 4.7はCoding Agent Indexで4位につけ、Claude Fable 5.1・GPT-6 Astra・Claude Opus 5がなお上位にいます。9月中旬に伝えられていた「Claude Opus 5.0並み」という下方修正の評価は、実際の立ち位置とおおむね一致する結果になりました。
xAIの次の一手は、すでに9月13〜14日の時点で明かされている。マスク氏が存在を認めたGrok 4.8は、新しいC++基盤での学習を続けているという。Copilotの最安プランに置かれたGrok 4.7がこのまま定着するのか、次のモデルが出るまでの短い期間に試されることになる。