Gemini の画像生成を担うGoogleが10月6日、画像の生成と編集のモデル「Nano Banana 2.1」を一般提供(GA)にした。開発者向けAPIでの名前は gemini-nano-banana-2.1。前の版「Nano Banana 2」の更新版で、画質、指示への従順さ、会話をまたいだ人物の一貫性、文字の描画を改良したとGoogleは説明している。

見出しになりそうなのは値段だ。1Kと2Kの画像は、1枚あたりの料金が旧モデルのちょうど半分になった。ただし半額になったのは画像そのものの値札だけで、4Kは25%引きにとどまり、文章・思考・参照画像にかかる単価はむしろ上がっている。

本稿は発表から3日たった時点で、この値札の中身を読み解く。移行を考える人が先に確かめておく点も末尾にまとめた。

⚠ 情報の鮮度について
一次情報はGoogleの開発者向け変更履歴の2026年10月6日付の項目と、同社のモデル解説ページ・料金ページです。発表から約3日が経過しており、料金は2026年10月7日更新の料金ページの表記、旧モデルの扱いは同じ時点のGoogleの廃止予定表に基づきます。Geminiアプリなど消費者向けの画面への展開は、Google側の記載を確認できていないため、本文では※観測として扱います。

Nano Banana 2.1とは──APIで一般提供になった画像モデル

Nano Bananaは、Googleが自社の画像生成・編集モデルにつけている愛称だ。愛称の裏にはAPI上の正式名があり、世代や格ごとに別のモデルとして並んでいる。

愛称 APIでの名前 位置づけ
Nano Banana 2.1 gemini-nano-banana-2.1 10月6日にGA。速さと値段の水準はFlash級のまま、画質などを改良した最新版
Nano Banana 2 gemini-3.1-flash-image 前の版。Googleの廃止予定表では2.1への移行が推奨されている
Nano Banana Pro gemini-3-pro-image 上位版。2.1は、その「効率のよい相棒」とGoogleの解説ページが書いている

Googleが挙げる改良点は、画質と写実性、プロンプト(指示文)への従順さ、会話をまたいだ人物の一貫性、文字の描画。2Kと4Kで横長やパノラマにしたときに出ていた継ぎ目のような乱れ(タイリング)も直したという。参照画像は最大14枚まで渡せ、人物は4人、物体は10個まで同じ見た目を保てる。出力は1K・2K・4Kの3段階で、既定は1Kだ。

これらはGoogleの説明であり、第三者の測定結果ではない。画質が実際にどこまで上がったかは、自分の用途で試すまで分からない。

一言でまとめると──「画像の値札は下がったが、半額になったのは1Kと2Kだけ。4Kは25%引きで、文章と思考にかかる単価は上がった」。請求書がどう動くかは、画像の大きさと入力の中身で変わります。

Nano Banana 2.1の料金──半額なのは1Kと2Kだけ

Gemini APIの標準料金で、画像1枚あたりの値札を並べる。画像は消費トークン数に単価を掛けて請求される仕組みで、1枚が何トークンになるかはサイズで決まる。

画像1枚あたり Nano Banana Pro Nano Banana 2 Nano Banana 2.1
1K(2.1は1,120トークン) 0.134ドル 0.067ドル 0.0336ドル
2K(2.1は1,680トークン) 0.134ドル 0.101ドル 0.0504ドル
4K(2.1は3,780トークン) 0.24ドル 0.151ドル 0.113ドル
Nano Banana Pro、Nano Banana 2、Nano Banana 2.1の3モデルについて、画像1枚あたりのAPI標準料金を1K、2K、4Kの3つの大きさ別に比べた横棒グラフ。1Kは13.4セント、6.7セント、3.36セント。2Kは13.4セント、10.1セント、5.04セント。4Kは24セント、15.1セント、11.3セント。2.1の棒は1Kと2Kで旧版の半分の長さだが、4Kでは旧版の4分の3ほどの長さにとどまっている。

画像出力の単価は、100万トークンあたり60ドルから30ドルへ半分になった。1Kと2Kは1枚のトークン数が旧モデルと同じ(1,120と1,680)なので、単価の半減がそのまま1枚の半額になる。

4Kだけ事情が違う。2.1では1枚が3,780トークンを消費し、旧モデルの2,520トークンの1.5倍に増えた。単価が半分でトークンが1.5倍なら、掛け合わせて0.75倍、つまり下げ幅は約25%になる。0.151ドルが0.113ドルになる計算で、見出しの「半額」は4Kには当てはまらない。

50% 1Kと2Kの1枚あたり下げ幅
25% 4Kの1枚あたり下げ幅
2.5倍 文章・思考の出力単価(3ドル→7.50ドル)

値札には、下がらなかった側がある。文章・画像・動画を入力するときの単価は100万トークンあたり0.50ドルから1.50ドルへ3倍、文章と思考の出力単価は3.00ドルから7.50ドルへ2.5倍になった。参照画像を何枚も渡す使い方や、長い指示文を書く使い方では、画像側の値下がりが入力側の値上がりに食われる。

思考の深さは、2.1では minimal・medium・high の3段階から選べる。公式の画像生成ガイドによれば、思考に使ったトークンは既定で課金対象で、途中で作られる試作の画像(思考画像)は課金されない。注意したいのは既定値だ。旧モデルの既定は minimal、2.1の既定は medium で、何も指定せずに移すと、思考にかかるトークンが増える方向に働きうる。実際にどれだけ増えるかは公式ページに書かれておらず、請求の内訳で確かめるしかない。

⚠ 4Kの価格は、情報源によって数字が違います
Googleの料金ページ(2026年10月7日更新)の4Kの表記は0.113ドル(3,780トークン)です。一方、発表当日の報道には、4Kを7.56セント、つまり旧モデルの半額とするものがありました。本稿はGoogleの料金ページの値を使っています。見積もりを出す前に、料金ページの現在の表と、実際の請求で確認してください。

旧モデルの停止日──10月29日とする報道と、日付のないGoogleの表

旧モデルのgemini-3.1-flash-imageは、10月6日の変更履歴で「非推奨(deprecated)」になった。ここまではGoogleの記載から確かめられる。

食い違うのは、いつ止まるかだ。発表当日の報道には、10月29日に停止すると伝えるものがある(The Decoder)。ところが、Googleの変更履歴の該当項目は「停止日は未発表」と書き、廃止予定表のこのモデルの行も「No shutdown date announced」のままだった。報道の日付の出どころは、読んだ範囲では公式の表に見当たらない。

💡 日付の扱い方
APIでモデル名を指定している場合は、移行の作業日を10月29日より前に置いておけば、どちらが正しくても間に合います。公式の表に日付が載ったら、そちらを優先してください。

使えない機能と上限

Gemini APIのモデル解説ページによると、入力の上限は131,072トークン、出力の上限は32,768トークンだ。Google検索(ウェブと画像)による根拠づけには対応するが、Googleマップによる根拠づけは非対応。ほかに、次の機能は使えない。

  • 関数呼び出し(function calling)
  • 構造化出力(structured outputs)
  • コード実行・ファイル検索・URLコンテキスト・Live API

バッチ処理は使えるが、FlexとPriorityの推論モードは使えない。ツール連携を前提にした自動処理に組み込んでいる場合は、料金より先にここで移行可否が決まる。

使う人ごとの動き方

A
APIで画像を作っている人:1Kと2Kなら移すだけで下がる

1Kや2Kが中心なら、モデル名を差し替えるだけで画像側の請求は半分になる。4Kが多いなら下がるのは4分の1だ。参照画像や長い指示文が多い場合は、同じプロンプトを旧モデルと2.1で10本ずつ流し、思考を含む請求トークンの内訳を並べて比べてから決めたい。

B
Geminiのアプリや検索で使っている人:画面はまだ確認できない

報道では、Geminiアプリ、検索のAIモード、Flowなどに順次展開されるとされている。ただしGeminiアプリのリリースノートに、10月9日朝の時点で2.1の項目は見当たらない※観測。値段も契約も変わらないので、画面で変化に気づくまで待つので足りる。

C
ChatGPTやMidjourneyと比べている人:サイズをそろえて比べる

画像AIの料金は、1枚あたりか、月額プランの上限か、会社ごとに測り方が違う。今回のように「半額」が1Kと2Kだけの話だった例もある。比べるなら、同じ大きさ、同じ枚数、文章の入力も含めた合計で見る。

編集部の見立て

Editor's Opinion

今回いちばん注意したいのは、「半額」という言葉の範囲だと考えます。半額になったのは画像出力の単価と、サイズが変わらない1Kと2Kだけです。4Kは1枚が消費するトークンが1.5倍になり、下げ幅は25%に縮みました。値下げの見出しを読むときは、どのサイズの話か、どの項目の話かを先に確かめる癖が役に立ちます。

もうひとつは、値札の下げ方の形です。画像側を半分にして、入力側を3倍、文章と思考の出力側を2.5倍にしました。画像1枚の値段だけを見る人には大幅な値下げに映り、参照画像や長い指示文を多く使う人には、手取りの下がり幅が小さく感じられる設計です。ただ、既定の思考の深さが旧モデルの minimal から medium に変わった影響が何トークンになるかは、公式に書かれていないため、実際の請求書がどちらに振れるかは断定できません。

旧モデルの停止日が報道と公式の表で食い違っている点も、見過ごせません。日付は公式の表に載った時点で確定します。載るまでは、報道にある10月29日を作業の期限として扱うのが安全です。

まとめ

2026年10月6日、GoogleがGemini APIで画像モデル「Nano Banana 2.1」(gemini-nano-banana-2.1)を一般提供にしました。1枚あたりの料金は、1Kが0.067ドルから0.0336ドル、2Kが0.101ドルから0.0504ドルとなり、いずれも半額です。

4Kは0.151ドルから0.113ドルで、下げ幅は約25%です。画像出力の単価は半分になりましたが、4Kの1枚が消費するトークンが2,520から3,780に増えたためです。入力の単価は3倍、文章と思考の出力の単価は2.5倍になっています。

旧モデルは10月6日に非推奨になりました。停止日は、10月29日と伝える報道がある一方、Googleの変更履歴と廃止予定表には日付がありません。Gemini APIでは、関数呼び出しと構造化出力が使えません。

次に確かめる点は2つある。Googleの廃止予定表に旧モデルの停止日が入るかどうか、そしてGeminiアプリのリリースノートに2.1の項目が立つかどうかだ。